人と人とのクロニクル 2

その1

・・・・と、いうわけであいつと会うことになったんだ。

よーすけ「おう。」

ジュン「ごぶさた。」
よーすけ「おう。」

かれこれ10年以上の付き合いの彼だから、ヒサビサにあってもそんなもんだった。
ヒサビサの再会に酒を飲みつつ話し始めた。

ジュン「いやー、最近予定会わないね。」

ちょっと不満そうに僕は言ったんだ。

よーすけ「そんなもんだろ。みんな忙しいんだ。俺もあいつらも、もちろんお前もな。」
ジュン「そうだけどさ。昔は毎日遊んでたからな。」
よーすけ「あのな、俺たちは家族でもなんでもないんだよ。それはムリだって。」
ジュン「まあね。でも寂しくないの?」
よーすけ「別に。縁が切れたわけでもねぇし。」
ジュン「ふーん。そっか。」

若干くらい雰囲気の中、しこたま飲んで帰り道、すこし休みに公園に寄った。

よーすけ「言っとくけどな、お前なんてまだマシだからな?はい、コーヒー。」
ジュン「サンキュ。で、どういうこと?」
よーすけ「いつもお前を中心に人が集まるだろ?だからお前にはもっといろんなグループの仲間がいるだろ?」
ジュン「うん、まあね。」
よーすけ「俺たちには居ないからな。俺たちにはお前たちのグループしか居ないんだよ。」
ジュン「ああ、そうね。」
よーすけ「だから、別に会う回数か減ったからって何も心配は・・・」
ジュン「ん?」

よーすけ「・・・お前、なんかあった??」

よーすけ「おい、分かったぞ。なんだ、何があったんだ??」
ジュン「どういうこと?」
よーすけ「お前が誰かに会いたがってるって時はだいたいへこたれてるときだ。」
ジュン「さすが。」
よーすけ「何年の付き合いだと思ってんだ。」
ジュン「たしかに。」
よーすけ「言ってみ?」
ジュン「実はな・・・」

よーすけ「つまり最近周りの面倒に連続して巻き込まれてるってわけだ。」
ジュン「そうなんだよ。」
よーすけ「それも、お前が何もしてやれないってわけか。」
ジュン「そうなんだ。結局はみんな自分で解決しなきゃ解決できないような問題ばっかで。オレが強引に解決してやってもいいんだけどさ。」
よーすけ「ダメだな。お前に頼らないでどうにかしないと。」
ジュン「でしょ?」
よーすけ「ああ、お前が解決してやったところでどうなる。自分の力でどうにかしなくちゃな。」
ジュン「だから、悩むんだよねー。」
よーすけ「お前は何もしなくていい。」
ジュン「そういうわけには行かないじゃん?」
よーすけ「まあな。そんな薄情なヤツ死んだらいい。」
ジュン「おい、じゃあどうしろってんだよ。」
よーすけ「なにもしてやらなくていい。そばにいてやれ。」
ジュン「あ?」

よーすけ「確かに、苦しんでる姿を見てるのはお前も辛いだろう。そこはぐっと我慢してみててやれ。
苦しんで辛い思いして戦ってる姿をただ眺めてるんだ。それは傍観でもなんでもない。応援だ。
つまりな、誰かがそうやって壁にぶつかってるんだったら、それはそいつ本人の力で乗り越えなければならないんだ。」

よーすけ「しかしな、その乗り越えた壁は越えた瞬間そいつを守る盾となるんだ。有名な言葉だけどな。
たしかに、お前は強い。頼りにもなるし一緒に居ると安心する。それは俺たちが保障するよ。お前は立ちはだかった壁を爆弾で穴あけて進むようなタイプだからな。
だからこそ、お前は壁を乗り越えられなくてウダウダしてるヤツを見ると心苦しいんだ。お前から見ればぶっ壊しちゃえばいいのにって思うんだ。
でもな、壁を壊したらどうなる?そいつを守る盾がなくなっちまうんだ。」

よーすけ「お前みたいに強い、一人で生きていける人間はそれでもいいだろう。しかし、他のやつらは盾に守られてなくちゃすぐに苦労の津波に飲まれちまう。だから、壁を乗り越えさせて、盾を作ったあとお前に会って一緒に笑えばいいんだ。もしまた津波がきたら、乗り越えた壁が盾となってそいつらを守ってくれる。お前は津波なんてものともしないだろ。」

ジュン「よーすけ・・・」

珍しくよーすけが真面目な目をしてる。

よーすけ「もし、それでお前が津波の中疲れたら、お前は壁をぶっ壊しちゃったから守ってくれる盾もない。そんなときは今までお前が見守ってきたみんなが自分の盾を使ってお前を守ってくれる。」

ジュン「よーちゃん?」

よーすけ「黙って聞け!もしな、今疲れてるなら俺の盾で守ってやる!少し休め。もともとな、人間みんな重たいもん背負って生きてんだ。2本の足じゃ立ってられねえんだよ。だから誰かの支えが必要なんだ。たまにお前みたいに自分の2本の足だけで生きられる人間がいるからよ、皆勘違いしちまうんだよ。自分だけで立ってなきゃって。そんなわけねぇんだよ。たくさんの壁を乗り越えてたくさんの盾に守られて、誰かに支えられてやっと立ってられんだ!」

ジュン「よーちゃん!声がでかいよ!」

よーすけ「うるせぇ!壁がなんだ!高い大きい壁ほど乗り越えちまえば、頼りになる盾となるんだ!お前みたいな強いやつとは違う普通の連中は壊しちゃダメなんなんだよ!お前はな、壊しちまえばいいのにとか思うかもしれないけどダメなんだよ!守ってくれる盾がないと普通の人間は立ってられねぇんだよ!オロオロオロだからなお前は黙って見守れ!いいな!オロオロオロそれでな、もし乗り越えられたら盾があるから安心できる、それでやっとお前と同じ強さを保ってられるんだオロオロオロだからオロオロオロお前はただ見てればオロオロオロ良いんだよ!オロオロオロ分かったか!」

ジュン「よーちゃん!モダン焼きが口から出てきてる!ちょっと帰ろう!」

よーすけ「うるせぇ!世の中には2つの強い人間がいる。分かるか!1つはお前みたいな「攻める強さ」だ。壁があればぶっ壊せば良い。岩が邪魔ならぶっ壊せば良い。もう一つは「守る強さ」だ。強い風から大きな波から守る強さだ。だれがその強さを持ってるか分かるか?俺を始め「お前のお陰で大きな壁を乗り越えられた」奴らだ!今、お前が風に負けそうなら、津波に飲み込まれそうなら俺たちが守ってやる!これから未来、またそういうときが来れば今お前が見守ってるやつらがその乗り越えた壁でそっとお前を守ってやる。だからな、お前はなにもしないでいい。盾を作らせろ!いいな!それが人だ!人と人はそうやって支えあってここまで生きてきたんだ!ジュン!俺はいま最高に気持ちがわるい!帰る!」

そういうとよーちゃんはわーわー言いながらタクシーに乗り込んでしまった。

ジュン「よーちゃん・・・」

取り残された僕は公園の水道で軽くあたりを掃除しながら「ありがとう」とよーすけのモダン焼きに言うのでした。

人と人とのクロニクル 1

あなたは友達は何人いますか?

いえ、友達だけじゃなくても
家族、親戚、同僚、なんでもいいです。

知り合いは何人いますか?

皆さんも知っている通り、僕は「知り合い」は多いです。

それこそ、幼少時代から知ってる人や仲の凄くいい人、仲の凄く良かった人、浅い仲の人、殺したいほど嫌いな人、その人いなくては生きていけない人まで居ます。

「ああ、あの人に会いたいな。」

そう思うことは皆さんにもあるでしょう。
当然、僕にだってあります。

逆に
「あいつとは顔を合わせたくない。」
と思う人もいます。もちろん僕にもいます。

一人がニガテ。そういう人も多いんじゃないでしょうか?僕もそのクチですし。
でも、その一人がニガテ。というより「一人では生きていけない」人には大きく分けて2通りの人が居る気がするんです。

一つは「相手を思いやり、楽しいもしくは幸せだから一緒にいたい」人

もう一つは「一人で生きていけないから相手を押さえつけ強引に一緒に居る」人

どちらのタイプも「その人が必要」には違いないのですが、やり方が大きく違います。

なんだかんだ言っても、結局一人で生きている人なんていないんです。
他人があってこその「自分」なんです。

その他人にとって自分とはいかなる存在なのか?
必要な人間か、それとも邪魔な存在か。

ちょっと考えてみることにしましょう。

僕はいったい皆にとってどんな存在なのか。

「「人と人とのクロニクル」」

「まーた、お前らかよ。ホントオレの事好きだよなー。」

待ち合わせ場所に着いた僕。
飽きるほど見慣れた顔が揃っていました。
  
「かといって他に誘う人もいないし、どうせ暇だったんだろ??」
「まあ、暇だったってことはないけど。わざわざ予定空けてきてんだよ。」
「そうなの?まあ、いいじゃん!」

そういうと僕らは出かけていった。

普通に遊んでいると

「おい!ジュン!!何やってんだ!!」
「あ、久しぶりー。」
「久しぶり!じゃないよ!元気だったの??」
「うん、まあねー。」

と友人に偶然であった。

「だれ?」
ともともと遊んでいた友人の一人が聞いてきた。

ジュン「ああ、こいつはたかよしってんだ。」
たかよし「おう、はじめま!」
友人「軽いなwwよろしく!」
ジュン「お前、何してんの?」
たかよし「暇だからウロウロしてた。」
友人「じゃあ一緒に行かない?ご飯でも食べに行こうかって言ってたんだけど。」
たかよし「いいの?いくいく!!」
ジュン「じゃ、いこうぜ。」

久しぶりにたかよしと合った僕は友人の誘いで一緒に食事に行くことになった。

たかよし「おまえな、ずいぶん久しぶりじゃねぇか。」
ジュン「忙しいんだよ、何かと。」
友人「まあ、俺たちも久しぶりに会ったんだよ。」
たかよし「そうなの?どうしたお前?」
ジュン「え?いや、別になんにもないけど。」
たかよし「ほら、お前一人がキライだったじゃん。毎日誘ってきたくせに。」
ジュン「お前らが誘ってきたんだろ??」
たかよし「いや、それもあるけど最近は誘ってもこないじゃん。」
ジュン「だから忙しいんだって。」
たかよし「あーあ、忙しい忙しいってさ!うるせぇな」
ジュン「悪かったよww」
たかよし「まあ、みんな会いたがってるぜ。たまには顔出せよ。」
ジュン「分かった分かった。」

普通にご飯食べて普通に帰った僕。

ジュン「たしかに、最近みんなとも遊んでないな。」
ジュン「ちょっと誘ってみるか!」

ジュン「うまく行かないもんだね。」

学生時代の毎日ド暇な時期から遊んでた僕ら。
それこそ、当時は呼べば集まった。

でも最近は皆社会人。そりゃあ忙しいのは分かってたけれどこうも集まれないと思わなかった。

それからというものの、ずいぶんと月日が経った。

僕は僕の人生を他の連中は他の連中の人生を送っていた。

ちょっと忘れかけていたある日、あいつから連絡が入る。

「おい、ちょっと付き合え。」

続く。

裏表

さて。

皆さん、僕のイメージってどんなですか?
いい加減で、バカで、ふざけてばっかいて・・・

どうせそんなモンでしょう。

しかし、人間誰にだってウラがあればオモテがあります。

例えば僕だって、普段はこんないい加減なことをやっていても
仕事中ならキリっと指揮をとり
刀を持てば自然と背筋も伸び
楽器を鳴らせば激しく華麗に
ベッドの上では甘くささやくときもある。

そう、人間意外な一面ってのがあるもんだ。

ある日僕はちょっと買い物に出かけた。

都内をうろうろし、散々買い物を楽しんだ後
夕食を食べに友人のレストランへ向かった。

そのレストラン、なんていうかオープンテラスみたいな感じで外にもテーブルがあるんだけど
肩身の狭い喫煙者の僕はその席で食事を取っていた。

なにげなく外を見ているとナナメ向かいに風俗店があったのだ。

金の男の欲望渦巻く、その薄暗い店の中では
ああ、あの中でトンデモナイ、ドエロい事が行われてるんだな。
そんなことを考えながら、シーザーサラダをシャキシャキ食べてました。

のんびり眺めていると入るわ入るわ、ぞろぞろと早歩きで男達が入っていく。

なんか若者やら疲れたオッサンやらがぞろぞろ入っていきます。
意外と入るもんなんだなー、と見てるとなんか可愛いおねぇちゃんが従業員入り口みたいなところから入っていって
ちょっとシーザーサラダ食べてる場合じゃねぇ!と立ち上がった瞬間
すごいビシッとしたサラリーマンが歩いてきました。

綺麗にされた高そうなスーツをバッシリ決めたいわゆる「デキる」サラリーマンでした。

そんな彼がまっすぐとした姿勢のまま風俗店に入っていきます。

きっと会社ではデキるサラリーマンとして慕われるに違いない。
部下からは尊敬され、上司からは期待され。
家に帰ればこれまた綺麗なマンションか何かで美人の奥さんが待っていて
「ねぇ、次の週末は休めるの?」
とかなんか聞いてきて
「ああ、そうだな。ここ最近ずっと仕事だったもんな。」
とつぶやきながら子供の寝る部屋に静かにいき
「ごめんな、パパ仕事が忙しくて全然遊んでやれなくて。」
とそっと眠る子供の頭を撫でるんだ。

寝る前にパソコンに向かい、仕事の資料の整理をしていると
何気なくWEBサイトに映った遊園地の広告。
「遊園地か・・」
追われる仕事の合間にふと子供の笑顔が彼の脳裏によぎる。
「たまには、いいかもな。」
そういうと彼は眠りにつき、次の日の仕事に備え睡眠をとるのであった。

そんな彼が週末来たのは新宿の路地裏。
金と男の欲望渦巻くこの店で、吸ったり吸われたりしてるのだ。

「なんなんだ、どうなっちゃってるの、この世の中。」
とものの数秒間からすごいカルマを感じた僕の元へ料理が届いた。

「ねえ、あの店なにがあんの?」と友人に聞いてみた。

「ああ、あの向かいの店ね。行った事はないけどピンサロでネコ耳とかした女の子が抜いてくれるんだ」
と、ワインの栓を抜きながら言ってた。
「ネコ耳・・・」
僕はあのサラリーマンがニャンニャン言われながらいじられてるのを想像してしまった。

僕が食事も終えて、店員の友人と喋ってると時は数時間経っていた。

すると、なんと彼が店から出てきたのだ!

相変わらずビシっとしたスーツを着てまっすぐ歩いている。
どことなく顔は疲れたような満足したような顔をしている気がした。

「オンオフって大事だね。」
僕は唐突にその友人に話しかけていた。
「ん?ああ、そうだね。大事なんじゃない?」
「そうだね。オレもたまには休もうかな。」
「ああ、お前も毎日忙しいからな。たまにはゆっくりするのもいいんじゃない?」
「そうだね。」

「休みでも取ろう。ゆっくり自分の好きなことでもやろう。」

帰りの電車の中で、僕はそう思ったのでした。